破壊者たちへ (2021/10/21)

文字数 1,009文字

2021年9月20日印刷 10月5日発行 
著者:青木理
毎日新聞出版



現在 右寄りの方々から猛烈な中傷、バッシングを受けている著者、
そもそもの始まりは「日本会議の正体(2016)」を世に問うた時から極右から標的になったのか。
そういう僕も「日本会議の正体」を読んでこんな超国家主義が世間の目に触れないように潜伏して活動していることを初めて知ることになり大きな衝撃を受けた。
さらに恐怖すら感じたのは、この話題が大手メディアでは一切触れることがないという事実。
海外メディアが、
【極端な右翼、反動的グループ 安倍内閣を牛耳り 歴史観を共有している (米CNN)】
【極右ロビー団体 国策を練り上げている(豪ABCテレビ)】
【強力な超国家主義団体(仏ルモンド)】
と分析しているのにかかわらずである、
そこに勃発したのが森友学園事件(2017年)だった。
籠池理事長と日本会議の関連疑惑が持ち上がったが大手メディアは無視した。
その後、トカゲのしっぽ切りで担当官僚が自殺する悲劇、その真実はいまだに明かされていない。

以来、著者の活躍は新聞、雑誌、テレビに拡がり、それと比例して、著者へのいわれなき個人攻撃、中傷がエスカレートしているのを見聞きする度に、力のない一個人として心を痛めていた僕だった。
ところがどっこい、青木理の反権力スピリットは健在だったことを本書を通じて知ることができ、一層の信頼を感じている。
本書は「サンデー毎日」誌上での連載コラム、単発記事(2018年1月から2021年9月まで)をまとめたもの、連載コラムは短い字数の中で簡潔に、単発記事はタイムリーなテーマに関してじっくりと書き記されている。
2018年から2021年という時間に何が起きたか?
任期最長総理大臣とその後継者の時代に何が起きたか、まだまだ僕の記憶にも鮮明に残っている「無知、無恥、無能力」な政治体制の数々。象徴的な新型コロナ対策を振り返れば、怒りが即座にふつふつと燃え上がってくる。
特集としては、「シビリアンコントロールが外れてきた自衛隊」、「1937年版国体、家が主体の明治への回帰」、「国家の暴力に脅かされる沖縄」など尖鋭な批判が本書の、いや著者の本分となっている。
大手メディアが口を噤むのなら、誰かが言い出さなければいけない、黙ってこのばかばかしい政権を見過ごすわけにはいかない。
長きにわたって、日本を破壊しつくした為政者たちへの抵抗の記録が本書である。
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