ピルグリム (2015/11/25)

文字数 583文字

2014年9月15日 発行
著者:テリー・ヘイズ
訳:山中朝晶
ハヤカワ文庫



ついこの間、パリでのテロが世界の大きな話題になったばかりです。
フランスのシリア空爆がその引き金だといわれていますが、もとをただせばアメリカのイラク侵略戦争が原因であり、
遡るとアメリカのアフガニスタン戦略であり、中東、イスラエル戦略に行き着きます。

アメリカをテロの対象としない限り、それも致命的な成果をあげることができない限り、
イスラムのテロは成就しません。
単発の暴力テロは、争点のイスラム国も含めて解決策になりません。
そんな想いを持った、たった一人のテロリスト「サラセン」が生物テロを計画実行します。
そのサラセンを阻むものは世界で最も優れた諜報員と言われながら、
9.11を阻止できなかったことから若くして引退した「ピルグリム」。

全三巻にわたる、二人の知力と腕力を尽くしたテロ対防衛の戦いに魅了されました。
過去のスパイ小説とは明らかに一線を画す飛び切りの内容です。
著者テリー・ヘイズは本作が処女作ですが、それまではマッド・マックスシリーズ等の脚本を手掛けてきたベテランです。
元新聞記者の情報力、映画脚本家としての構成、華麗がうまく調和しています。

まったく新しいエスピオナージュ小説です。
世界は暴力では変わらない、インテリジェンスの戦いをここまで徹底して描く本シリーズに老後の楽しみがまた増えました。
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