憲法9条と我らが日本 (2016/9/24)

文字数 661文字

2016年6月15日 初版第1刷発行
編者:大澤真幸
筑摩書房



憲法九条について大澤さんが憲法学者ではないきわめてラジカルな提案の3人に質問する形式で、現状の空疎な九条論議に喝を入れる。
その三人は; 中嶋岳志さん、加藤典洋さん、井上達夫さん、
各々通り一遍の「護憲/改憲」の枠に収まらない深い思索で九条を論じている。

1.中嶋岳志の九条改正案
集団的自衛権行使までも認め、九条の戦略的保持が無効になってしまった現在、九条に自衛隊を明記し平和主義と立憲主義を守る。
その底流には「脱亜入欧」から「脱米入亜」への保守主義(「復古」でも「反動」でも「進歩」でもない)を提案している。

2.加藤典洋さんの九条改正案
現在の自衛隊を「国連待機軍」と「国土防衛軍」との二種類の軍事組織に改組する(国土防衛軍は治安出動の禁止)。
核兵器の保有、製造、持ち込み、使用禁止に併せて、MAD(相互確証破壊)の関係を国際的に普遍化させる。
外国基地の撤去条項追加。

3.井上達夫さんの九条削除論
安全保障戦略については憲法ではなく国会の討議に委ねる。
自衛隊であれ軍隊を持つ場合には絶対平和主義と徴兵制の採用が条件となる。

4.編者(大澤真幸さん)の九条改正論
九条を文字どおり受け取り順守、つまり絶対平和主義(武器を持たない非暴力抵抗)を提案。
追加(第三項)として積極的中立主義(対立する陣営の双方に非軍事的支援をする)。
国連に紛争解決のための独特の方式を提案し国連改革に貢献する。

空疎なあるいは欺瞞的な憲法九条論に辟易としている憂国の士には
一つの思考の鍵となると思います。
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