訣別 (2020/1/28)

文字数 763文字

2019年7月12日 第1版発行
著者 マイクル・コナリー、  訳 古澤嘉通
講談社文庫



「ヒエロニヌス(ハリー)・ボッシュ」シリーズ19作目、1950年生まれのハリーは僕と同年なのに、まだ現役の刑事というところがさすが小説かもね。
ロス市警での定年延長後、再雇用に関する市警との訴訟騒動もあって、腹違いの弟マイク・ハラー弁護士(リンカーン弁護士)の調査員、小さな町サンフェルナンドの嘱託刑事(無給のボランティア!)、そして私立探偵業も兼ねるという相変わらずの法執行官中毒のハリー・ボッシュが本作エンディング部分で「警官の血」を語っている。

引用すると…
『 その途中ボッシュは警官の血についてルルデスに言ったことについて考えた。ボッシュが心から信じていることだった。自分の内的宇宙には、秘密の言語で刻まれた使命があるのをボッシュは知っていた。太古の洞窟の壁に描かれた絵のように。方向と意味を与えてくれる使命が。
それは改変することが不可能で、つねにそこにありボッシュに正しい道を示してくれるのだった。』

本作はハリー・ボッシュシリーズ随一の傑作、
無給のボランティア刑事としての矜持から、卑劣な連続レイプ犯を未解決事件のなかから蘇らせ追い詰める一方、死を前にした大富豪から全財産を渡したい自分の血を継ぐものを探してほしいと依頼される、この私立探偵エピソードは臆面もなきフィリップ・マーロ―の世界になっている。
現在生存する作家でチャンドラーを語る(騙る)ことができる数少ない重鎮になってしまったマイクル・コナリー、相変らずジェットコースタースピードのアクション展開と、お約束の「どんでん返し」もきちんと用意され、不屈の女性たち(警官、アーティスト、愛娘)もしっかりと登場して活躍する。
いつまでも、警官であることを誇りにして活躍してほしいものだ。
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