ダーク・アワーズ  上・下 (2023/2/3)

文字数 864文字

2022年12月15日 第1刷発行
著者:マイクル・コナリー  訳:古沢嘉通   
講談社文庫



文庫帯の宣伝コピーに一瞬ニヤリとしてしまう。
〈 天使の街の女神の危機に守護神ボッシュ降臨 〉
マイクル・コナリー長編小説36編目の本作は米国メディアでも絶賛の書評をもらっている、マイクル・コナリーベスト3に入る傑作・・・という具合である。
本作はロス市警ナイトシフト女性刑事レネイ・バラードと市警を引退した剛腕刑事ボッシュの最強コンビシリーズでいうと第3作目になる。
夜だけの刑事に左遷されたバラード刑事という設定に最初馴染むことができなかったが、本作では夜間刑事を誇りに、そして愛してすらいることを本人が語っている。

本作は2020年12月31日大晦日に発生した殺人事件と、同時期に独居女性を恐怖に陥れた二人組レイプ連続事件をバーラード&ボッシュが捜査するという、近年定番となったいる複数事件捜査の驚愕の真相が最後まで僕を引き付け一気読みに誘ってくれた。
2020年12月と言えば、コロナパンデミックが猛威を振るい、一方トランプ支持者の国会議事堂襲撃という民主主義の根底を揺るがす事件、この二大トピックスが本作でもモチーフになっている。
バラードはすでに感染し数週間病床にいた、ボッシュはホームステイに徹していたがバラードに促されてドジャース球場でワクチン接種を受ける・・・などなど生々しいロス市内のコロナ対策の詳細や商業施設の疲弊が事件捜査の背景としてきちんととどめ置かれている。
国会襲撃によるアメリカ分断、コロナによる警官のパワー不足を女神と守護神が嘆き悲しむところはカリフォルニアのリベラル面目躍如といったところだった。

事件捜査の結末は語るつもりもないが、バラードの解雇に発展する騒動になるということだけお伝えしておきたい。
もちろん いつもの複数のどんでん返しがあるので、正しい結末は読んでみていただきたい。
コナリー次作は本シリーズ第3作の時間差なしの続編だという、近々発刊されるとのこと、お愉しみは尽きない。
ありがとう マイクル・コナリー。
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