ザ・ドロップ (2015/5/5)

文字数 476文字

2015年3月15日 発行
著者:デニス・ルヘイン
ハヤカワミステリー



すわっ、デニス・ルヘイン新作だと喜び勇んで手にしたところ、今までにはない小品だった。

長編のイメージ(パトリック&アンジーシリーズ、ミスティックリバー、運命の日など)とは違った、ギリギリと削り取ったようなハードボイルド作品だった。
しかし実際は、短編アイデアを映画のために脚本化したものを小説にした、
セルフ・ノベライゼーションだそうな。
つまるところ、ルヘインの映画が出来上がっているということだ。
主演は現在売り出し中のトム・ハーディ。
残念ながら、日本公開予定はない。

一般的には、ノベライゼーションに秀作なし…と思っている。
しかし本作は、映画そのものである。
シーン、カット展開はもちろん、音楽まで聞こえてきそうな小説だ。
ブツギレで主人公、寡黙なバーテンダーにまつわる人間像が紹介される。
その人間模様がエンディングでぴったりと調和されていく。
長編の魅力ルヘインの未開の能力を観た思いで少しうれしくなった。

本当はたっぷりのストーリー跳躍も楽しみたいところだが、
それは次作、「夜に生きる」の続編で。
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