世界の終わりの七日間 (2016/2/18)

文字数 625文字

2015年12月15日 発行
著者:ベン・H・ウィンタース
訳:上野元美
ハヤカワポケットミステリー



「最後の刑事」三部作がここに完結した。
地球に小惑星マイアが衝突することになった、プレ・アポカリプスSF/ハードボイルド物語が
強烈に、しかしやさしく終末を迎えた。
「その日の半年前」刑事になったばかりの主人公ヘンリーが混乱の中でも粛々と不審死を追求するのが第一作(地球最後の刑事)。
「その日の3か月前」刑事警察が消滅した中で、依頼された人探しをするのが第二作(カウントダウン・シティ)。
そして第三作は「その日の一週間前」、唯一の肉親である妹を探して旅をするヘンリー。

三部作シリーズのテーマは、人類滅亡に際して「その時」になにをするべきか?
ヘンリーは最後まで刑事として考え行動する。
最後の時に妹と過ごすことを念じてその能力を振り絞る。

第二作からの伏線で、妹は小惑星衝突陰謀説を信じ、地球を救う組織活動をしている。
その話が真実なら、「その時」を回避できるのか?
パニックで崩壊した街、自警団が守る街、静かに過ごす宗教団体などプリ・アポカリプスの雰囲気の中、ハードボイルドは突き進んでいく。
今作では、生存能力の異様に強い同行者、気心の知れた相棒犬とのロードストーリーになっている。
前2作同様、破滅SF の真っただ中に、ハードボイルドミステリーがきちんと構築されている。
ヘンリーは「その時」誰と過ごすことになったのか。
ラストセンテンスに僕は涙した、久しぶりのことだった。
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