作家的覚書 (2017/6/16)

文字数 1,040文字

2017年4月20日 第1刷発行 
著者:高村薫
岩波新書



まずは カバー裏の宣伝コピーから・・・
《 一生活者の視点から、ものを言い、日々の雑感を綴る。今というこの時代、日本というこの国に生きることへの本能的な危機意識が生来の観察者を発言者に変える。2014年から2016年まで、日本がルビコン川を渡った決定的時期の覚書として、特別な意味を持つ一冊である。》

「図書」誌上で好評連載中の時評に加えて京都新聞・現代のことば、読売新聞・寸草便り、毎日新聞、北海道新聞、熊本日日新聞で掲載された、日本語を大切にする高村さんならではの鋭い文章に、今さらながら目から鱗が落ちていく思いだった。
短い時評の中に込められた、戦後生まれ(1953年)ならでは民主主義と立憲主義の崩壊への恐れと無力感を僕は120%実感した。

あろうことか昨日、立法府の存在を蹂躙した安倍政権の共謀罪法案採決を目の当たりにしたところだった。

高村さんの視点は明確だった。
自問自答してみようと云う・・・「私たちはいま、どういう時代に生きているのだろうか」と。
この時代が意味するのは、政治情勢、景気や国民所得の増減、失業率を含めた経済状況全体、
人口構成の現状、医療と社会福祉をふくむ社会制度全体、学校と子どもたちの現状、国防と外交の現状、国際情勢 などがひとつひとつ織りなす時代ということだ。
今の時代に不安を感じている、それはすなわち「未来が見えない」ことだと高村さんは指摘する、そして続けて・・・未来は意志であると。
将来どういう国にしたいのか?将来どんな生き方をしたいのか? 
その意思がその人の未来像を作る。
しかし日本に限らず世界の先進国家は繁栄の終わりのステージに留まりその将来を模索しているのが厳しい現実でもある。
守るべきは守り、無駄を捨て、望みすぎず、努力を怠らず、与えられた資源を最大活用して生きること・・・を未来の意志とした時、

まず第一に目指すべきは子供たちにとって平和で誇りに満ちた社会であること。
第二には、そのためには歴史認識の整理を国家レベルで徹底すること。
第三には、日本が培ってきた財産を長持ちさせ活かし続ける低成長社会を実現すること。
そのために必要なことは「私たちはいま、どういう時代に生きているのだろうか」ということを一人一人が言葉にし、言葉にすることでかたちにし、かたちにすることで把握することにある。
今の絶望に諦めることなく、未来への意志、言葉を探すこと。

僕の言葉:
えこひいき、下ネタ攻撃内閣に未来はない。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み