輪廻の蛇 (2015/3/16)

文字数 708文字

2015年1月25日発行
著者:ロバート・A・ハインライン
ハヤカワ文庫

 

先日観たシネマ「プリディスティネーション」の原作、
「輪廻の蛇」タイトルでの新装版をチェックした。
無論、シネマとのマーケティングミックスなのだろう。
そのシネマはタイムパラドックスを思想的にとらえた高級な仕上がりになっていたので、
気になったわけである。

本のオリジナルタイトルは、「All you Zombies」
・・・・・まさか 人は皆ゾンビ―?? っていうわけではないだろう。
辞書によれば、ゾンビ―の意味にはヴードゥーの蛇教という意味もあるそうな。
なるほど、日本語タイトルの「輪廻の蛇」がイメージされた所以であろう。

本短編作品集は6作から構成され、当文庫サイズでで430ページあるが
この「輪廻の蛇」は意外にも40ページの極短編だ。
言ってみれば、本作はシノプシス、いやいや粗筋のみのような作品だった。
この原作からインスパイア―されての映像化は立派。
そして原作の台詞をほぼ踏襲しているのも、特別なこだわりがあったのか?
いずれにしてもシネマ化の勝利だろう。

おもいっきりのネタバレだが、
一人の人間がタイムトラベルして自分自身に関与し影響し続ける。
その目的は、自分を抹殺するため。
これほどまでの、哀しいSFはない。
ハインラインは、この短編集をSpeculative Fictionと位置付け、
Science Fiction とは異なる価値を強調している。
本作以外の5作品においても、自己存在の不明確、死世界へのトリップなどの
革新的なファンタジーが編集されている。
この短編集は1959年発刊されている。
そして2015年の今、その魅力はいささかも減じられていない
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み