正義の弧 上・下 (2023/9/20)

文字数 723文字

2023年7月14日 第1刷発行
著者:マイクル・コナリー   
訳:古沢嘉通
講談社文庫



マイクル・コナリー37冊目の長編小説、レネイ・バラードとハリー・ボッシュが共演するシリーズとして4作目になる。
全作「ダーク・アワーズ」から1年と言う短期間の刊行には意味がある。
本作の原題は DESERT STAR 、砂漠地帯に自生する一般的な花だが、その背景にはハリー・ボッシュが解決できなかった悲惨な一家4人殺人事件がある、今作ではレネイ・バラードがLA市警本部長直轄の未解決事件チームを任され、ハリーはこの事件のためにボランティアでの捜査に手を貸すという設定になっている、そしてハリー・ボッシュ70歳、娘マディはLA市警警官になっている。
本作でも定番のように二つの未解決事件捜査が展開される。
ひとつはハリー懸案の一家殺人、もうひとつは市会議員妹殺害から発展する連続殺人事件の闇。
いまや 未解決事件解決のキーとなっているDNA検査から解き明かされる手がかりを追う二人、簡潔なシーン描写から凶悪犯罪に乾いた怒りを感じるマイクル・コナリー・スタイルは最絶頂を迎えている。
本作のベースにあったのはハリーの「死」への覚悟、過去の捜査活動で被爆した影響が今作では深刻になっている、そして秘かに自死を計画しているハリー。
そんなハリーが自らの命を懸けて犯人に迫る、もう刑事ではないハリーの刑事魂、そっと見守るレネイ、最強の刑事コンビだった。

コナリー作品の発行部数が世界で8500万部だという、1作平均200万部を超えることになる。
元祖 ジェットコースター小説でありながら、すっと読み終えることができる極上のエンターテイメントシリーズも、
そろそろ終焉に近づいてきたのだろうか。
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