三島由紀夫が復活する (2019/6/2)

文字数 689文字

2019年4月1日 第1刷発行 、4月4日 第2刷発行
著者:小室直樹
毎日ワンズ



1970年11月25日 「三島由紀夫、市谷自衛隊において自決」のニュースを、僕はどこで聞いていたのだろうか? と自らに問うてみるが、確かな記憶はない。
早稲田大学2年生の時だ、日米安保条約改定への阻止運動が大学内を席巻していたはずだ。
1か月前の国際反戦デーはどんな盛り上がりだったのか? 前の年の新宿騒乱事件ほどのことはなかったような記憶がある。
つまりは、治安は落ち着きを取り戻していたのではなかったか。
そんな時に 滑稽なユニーフォームに身を押し込んだ、あの世界的高名な作家が自衛隊に乱入して檄を飛ばしたという。
僕は、どちらかというと否定的な立場で三島事件を眺めていた。
ナルシストの勝手な暴挙という批判的見方に近かった。

本書は三島の思想・哲学面から説き起こしていく。
「仏教の唯識論」は初めて目にする言葉だった、三島の著書からその傾向を探り出し、やはり三島の非凡なる才能を解き明かしてくれる。
しかし、だからと云って三島の著作の思想と、「自決事件」は論理的に結びつき難い。

三島が自衛隊員を鼓舞した演説に、やはり彼の真実があるようだ。
彼が恋焦がれたのは侍たちの国軍、そのエリート軍人だけが日本男子たる資格を持つと妄想した。
そのために天皇は人間であっても象徴であってもならない。
神であり、国の支柱として生死を捧げる天皇を求めた。
いま、自衛隊を憲法に明記して自衛隊員のプライドと国への想いを約束したい・・・
というグループがある。
三島が相対した自衛隊と今の自衛隊とに違いはない、もしかして余計なおせっかいなのかも。
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