失踪 (2016/9/9)

文字数 583文字

2015年12月25日 初版発行
著者:ドン・ウィンズロウ
訳:中山宥
角川文庫



本作は以前レビューした「報復」と同様、ドイツにてまず出版されそのあと日本で翻訳され、
いまだアメリカ本国では未発表というレア作品だ。

というよりも、その真意は
ドン・ウィンズロウ作品がドイツ、日本で人気が高いというマーケティング的理由だそうだ。
物語は、ネブラスカ州警察の刑事が、少女失踪事件をきっかけにその職を辞してまで執拗に
アメリカ全国をたった一人で捜査する「失踪カテゴリー」。
そして最後に辿り着いた場所は、NYシティ、そこに全国から失踪した少女が流れ着く場所でもあった。
冒頭の田舎警察敏腕刑事が、NYでは野暮な武骨漢でありながら正義感溢れる捜索者として暴れ騒ぐパターンは、アメリカポリスストーリーの定型ではある。
そこは、ドン・ウンンズロウならではの男気とユーモアでNYシーンがクライマックスらしい盛り上がりになる。
警察での栄達、妻との結婚生活、警察権力を捨て去ってまで失踪した少女をとり戻そうとする主人公、ハードボイルドには心惹かれないわけにはいかない。

いつものドン・ウィンズロウの華麗な文体ではなく、
どちらかというと荒削りの骨太なタッチが少し不満だが、
これもドイツヴァージョンなのだと納得した。

本作は、ストレートに主人公の正義感を愉しむべきだろう、
蒸し暑い夜には最適の爽やかアクションだった。
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