君の膵臓をたべたい (2017/6/10)

文字数 938文字

2017年4月1日第1刷発行 
著者:住野よる
双葉文庫



奇妙なタイトルに、少し腰が引けていた、たとえ2016年本屋大賞第2位(!?)のベストセラーとはいえどもだ。
内容を調べることもなくそのままにしておいたら、シネコンでいきなり予告編に遭遇する。
7月28日公開だって・・・?
ちょっと慌ててしまったのは、どうやらこの小説が学園モノであり、
若くして死んでいく女子と何やらイケメンの男子のお話のようだったからだ。
僕は自慢ではないが学園モノ、それも女子主人公モノにめっぽう弱いのである。
予告編情報によれば、高校生エピソードと成人エピソードの二面建て構成のようだった、
成人編では小栗旬さんがいた。
最近小栗さんの演技にいたく傾倒している僕としては、このシネマは外せないと思うと同時に原作も読まねばと決意した。

よくある感想で恐縮だが、もっと早くに読んでおけばよかった・・・・と大いに反省している。
著者の住野よるさんご自身を投影したような自己完結型男子高校生、人との関わりを極力避ける人生を生きる高校生が死を前にした女子と交流することで自分を変えていくというお話だ。

そのお相手はというと、膵臓の難病で余命1年にも拘わらず周囲から愛され続ける女子高校生、
よくあるパータンというなかれ、
小説はこの二人の会話と心のつぶやきでほぼ構成されている。
「人は必ず死ぬ」ことをどれだけの生きている人間たちは自覚して毎日を過ごしているかという大きなイデアがそこにある。
言い換えれば「愛と死」という普遍のイデアの裏返しなのかもしれない。
そして、《膵臓》 この奇妙な単語は二人の深い愛情のメタファーになっている。

ところで、
小説を読み始めた時から、文章構成、シニカルな会話などから著者は村上春樹さんをカバーしているのではないかと感じていた。
前述のイデアとメタファーも然り、意表を突く結末もそうだ、村上文学の習作を読んでいるようだった、ず~と最後まで。
そして最後に主人公の氏名が明らかになる、納得と同時に僕は微笑んでいた。

さて 読み終わってみて、どうやら映画は大きく脚色されているようだ、
もとよりベストセラーを原作通りに映像化するのはむつかしい、
特に内省の多い本原作の場合はなおさらだ。
とういことで、7月28日が待ち遠しい。
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