日本国民に告ぐ (2015/8/28)

文字数 831文字

2005年12月24日 初版発行 (1996年12月版の改版)
著者:小室直樹
ワック出版



碩学であり奇人と言われ、それでもやはり天才的思想家であった小室直樹さんの
10年前の著書である。
その原本はさらに9年前、戦後50年の区切りで世に問うた檄文だ。
戦後70年の今年、改めて手に取ってみたのも、著者の強引ではあるが論理的思考に常々魅せられていたからだ。
先ず章立ては次の通りになっている:

第1章;誇りなき国家は滅亡する
第2章;「従軍慰安婦」問題の核心は挙証責任
第3章;果たして日本は近代国家なのか
第4章;なぜ、天皇は「神」となったのか
第5章;日本国民に告ぐ
第6章;日本人の正当性、復活のために

昨年、「従軍慰安婦」問題で朝日新聞社の捏造が明らかになったが、
著者は国家の関与について論理的に在りえないと19年前から主張していた。
まさに論理思想派の面目躍如というところだが、残念ながら朝日新聞の醜態を見ることなく
5年前に著者は亡くなっている。
当該問題に関し、時の首相の謝罪外交という国家規模の失態から著者は戦後日本人の
「急性アノミー」を解き明かす。
アメリカ占領によるマインドコントロールが効果的に作用した結果、
戦後の日本人は無規範、無連帯状態に追い込まれたと断じる。
東京戦犯裁判史観、太平洋戦争史観、日米安保条約の置ける誤謬の数々を指摘し、
最終的には大東亜戦争は侵略ではなく自衛戦争だったと結論する。

いつもながらの快刀乱麻、小室節がさく裂していて小気味いい。
著者の思いの中心点は、日本の若者に日本の誇りが持てないことは国家の滅亡、病膏肓に至ることである。

つい先日国会で、
山本太郎議員が「タブーになっていることだが、日本はアメリカの植民地をいつまで続けるのか?」と質問した。
あまりにも薄っぺらいパフォーマンスであるが、その奥にあるのは小室さんの想いに通じるものだろう。

ではどうすればいいのか?
著者は、明治維新における大日本帝国成立の秘密まで掘り下げろという、
その分析が本書である。
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