まほろ駅前協奏曲 (2014/4/10)

文字数 665文字

2013年10月30日第1版
文芸春秋
著者:三浦しをん



まほろ駅前シリーズ「多田便利軒」(直木賞作)、「番外編」に続く第3作は、
モンスター級抱腹絶倒物語になっている。
本作はシリーズ初の長編(週刊文春連載)になり、
1年間の物語の流れの中で三浦さんの「仕掛け」も見事に炸裂している。
シリーズのベースは、実は「二人の心傷ついた男」のセ・ラ・ヴィな生き方だ。

その舞台は「町田市」、作品では「まほろ市」僕にとっては隣町でもある。
「箱急」は「小田急」であり、「横中(横浜中央バス)」は「神奈中(神奈川中央バス」…
と言う具合に親近感盛りだくさんだ。
主人公二人、便利屋の多田とその高校時代の友人で居候の行天は世間から離れて
便利屋をひっそりと営む。
いきおい、付き合いは老人や弱者が多く、そこに人情と波乱万丈が乱れ持ち上がる
…と言う世界になっている。
今作でも、常連になっている農家の岡さん、曾根田のばあちゃん、娼婦のルルとハイシー、
やくざの岡山組、チンピラの星さんなどのオールスターキャストだ。

今作では二人の男の過去のトラウマが明るみになると同時に、その救済もされることになる。
多田には恋人ができ、行天は生物学上の娘と再会し、
二人は過去の哀しみを乗り越えようとする。
バスジャック、駅前広場での乱闘騒動などアクションサービス(もっとも笑いに包まれたアクションだが)もたっぷりと盛り込まれている。

三浦しをん代表作を争うシリーズだったが、
エンディングの展開から、また新たな局面も見えてきた。
間違いなく、三浦しをん代表的サーガになるだろう。 
次回作も期待できる。
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