サピエンス全史 (2017/4/15)

文字数 1,371文字

2016年9月30日 初版発行
ユヴァル・ノア・ハラリ 訳:柴田裕之
河出書房新社



ホモ・サピエンス(我々のこと)の幸福を見据えた地球史であり、未来への警告書になっている。
こんな歴史書と中学生の頃に接していたら…という淡い切ない悔しさを感じてしまった。
無論 ホモ・サピエンスとしての僕はまだ終了してしまったわけではない、本書からもらったダイナミクスを活用するぞ。

「あとがき」が秀逸だったので全文以下に引用する:
『 七万年前、ホモサピエンスはまだ、アフリカの片隅で生きていくのに精一杯の、取るに足りない動物だった。ところがその後の年月に、全地球の主となり、生態系を脅かすに至った。今日、ホモ・サピエンスは、神になる寸前で、永遠の若さばかりか、創造と破壊の神聖な能力さえも手に入れかけている。
不幸にも、サピエンスによる地球支配はこれまで、私たちが誇れるようなものをほとんど生み出していない。私たちは環境を征服し、食物の生産量を増やし、都市を築き、帝国を打ち立て、広大な交易ネットワークを作り上げた。
だが、世の中の苦しみの量を減らしただろうか?人間の力は再三にわたって大幅に増したが、個々のサピエンスの幸福は必ずしも増進しなかったし、他の動物たちにはたいてい甚大な災禍を招いた。
過去数十年間、私たちは飢餓や疫病、戦争を減らし、人間の境遇に関しては、ようやく多少なりとも真の進歩を遂げた。とはいえ、他の動物たちの境遇はかってないほどの速さで悪化の一途をたどっているし、人類の境遇の改善はあまりに最近の薄弱な現象であり、 決して確実なものではない。
そのうえ、人間には数々の驚くべきことができるものの、私たちは自分の目的が不確かなままで、相変わらず不満に見える。
カヌーからガレー船、蒸気船、スペースシャトルへと進歩してきたが、どこへ向かっているのかは誰にもわからない。私たちはかってなかったほど強力だがそれほどの力を何に使えばいいかは、ほとんど見当もつかない。人間は今までになく無責任になっているようだから、なおさら良くない。物理の法則しか連れ合いがなく、自ら神にのし上がった私たちが責任を取らなければならない相手はいない。
その結果、私たちは仲間の動物たちや周囲の生態系を悲惨な目に遭わせ、自分自身の快適さや楽しみ以外はほとんど追い求めないが、それでも決して満足できずにいる。自分が何を望んでいるかもわからない、 不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか? 』
―引用終わりー

ご参考までに、章立てもご紹介しておく:
第1部 認知革命  ①唯一生き延びた人類種 ②虚構が協力を可能にした ③狩猟採集民の豊かな暮らし ④史上最も危険な種

第2部 農業革命 ⑤農耕がもたらした繁栄と悲劇 ⑥神話による社会の拡大 ⑦書記体系の発明 ⑧想像上のヒエラルキーと差別

第3部 人類の統一 ⑨統一へ向かう世界 ⑩最強の征服者、貨幣 ⑪グローバル化を進める帝国のビジョン ⑫宗教という超人間的秩序  ⑬歴史の必然と謎めいた選択

第4部 科学革命 ⑭無知の発見と近代科学の成立 ⑮科学と帝国の融合 ⑯拡大するパイという資本主義のマジック ⑰産業の推進力  ⑱国家の市場経済がもたらした世界平和 ⑲文明は人間を幸福にしたのか ⑳超ホモ・サピエンスの時代へ
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