なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか (2020/9/6)

文字数 790文字

2020年7月20日 第1刷発行
著者 望月衣塑子、佐高信
講談社+α文庫



安倍晋三首相が持病の再発で辞意を表明し、菅官房長官があっという間もなく後継するという早業を見せたこの一週間だったが、その菅官房長官に徹底的に嫌われた望月記者、そして一匹狼の政治評論家佐高の対談をまとめた本書は「羊頭を掲げて狗肉を売る」類の大仰なタイトルが痛ましい、中身は親子ほどの時代格差をものともせず、ジャーナリストの有り様についてのお喋りが延々と繰り広げられる。
ただし、かくも不可思議にも長期にわたって権力をほしいままにした安倍首相の後に、その政策を生真面目そうに踏襲するというこれまた不思議な菅政権を目前にして、日本のジャーナリズムが以前と同様に政権追随おべんちゃら報道に徹するであろうと確信するのに、本書のお助けは必要なかった。

対談の流れのなかで、佐高氏が望月記者に伝える:
昔のジャーナリストは骨があったとか、
良心に従って抵抗した官僚はかってはいたとか、
庶民の気持ちをはかり知る政治家がいたとか、
結局はそんなエピソード自体、彼らが稀有なものだったことの証にしかならない。

日本にあって権力に対峙するジャ-アナリズムは存立しえないと僕は思っている。
権力をチェックするジャーナリズムは理想であり、エリートが報道を担う現代では反骨のジャーナリストはドラマや映画でしかお目に掛かれない。
鬱憤を晴らすのは、そんな閉塞状況のなかでも漏れ聞こえてくる小ネタ、
本書ではかっての安倍晋太郎番記者だった岸井氏が晋太郎から聞いたという幼き信三に関するコメントが印象に残った:
「出来が悪いんだけど、ただ、言い訳の天才だ」、 大いに笑わせてもらった。
アベノマスク、ステイホーム源ちゃん動画を思い出してしまった(というか決して忘れてはいけないのだけれど)。

どうやらこの「言い訳政権」がこれからも引き継がれるらしい、あ~あ ウンザリ。
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