転落の街 (2016/10/26)

文字数 615文字

2016年9月15日 第一刷発行
著者: マイクル・コナリー  訳: 古沢嘉道
講談社文庫



マイクル・コナリー長編二十四作目、「ハリー・ボッシュ シリーズ」第十 五作目、
「リンカー弁護士シリーズ」での登場を除けば、衝撃の「ナイト・ドラゴン」の続きとなる。
前作では、香港での銃撃戦をはじめアクション満載だったが、今作では一変して地味な捜査活動がメインになっている。
それはタイトルにも象徴されていた。
THE DROP の意味には二つある、
ひとつは、今作でボッシュが市警本部長直々に任ぜられる転落死の解明捜査。
転落死したのは、以前からボッシュの天敵である市会議員の息子、政治絡みの匂いがプンプンしている。
もうひとつは定年延長選択制度( D.R.O.P) 、ボッシュはあと何年刑事でいられる?
ボッシュの心に彷徨い込んだ刑事としての限界の懸念が全編に盛り込まれている。
愛娘マデリンが刑事になる決意をするのもなにやら伏線のように思えて仕方が無い。
ボッシュシリーズお約束の複数のどんでん返しは、そんな意味からさほど強烈ではないが、
僕を静かに満足させる程度には効力があったようだ。
もうひとつの事件は、所属する未解決事件(いわゆるコールド・ケース)班での、シリアルキラー捜査。
その事件に巻き込まれた少年の悲しいエピソードも、実はTHE DROPだった。
ボッシュはといえば、
悩み抜いた上で、彼は刑事にとどまることを最後に選択する。
まだまだ、お楽しみは続く。

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