孤狼の血 (2016/8/18)

文字数 607文字

2015年8月27日 初版発行、12月10日5版発行
著者:柚月裕子
角川書店



第69回日本推理作家協会賞受賞作品。
女性捜査官を主人公にしたポリスストーリーが今ブームとなっている中、
骨太の刑事物語が女性作家によって生まれたことは本当の意味での
女性活躍を裏付けるものになった。
柚月さんは2008年のデビューということだからまだまだこれからの作品が楽しみだ。

ストーリーは広島県警で悪名をとどろかせる暴力団担当デカと相棒になる新米警官の1か月の捜査を描いている。
暴力団組織の情報を取り込むために相手の懐深くまで入り込む伝説の刑事に次第に惹かれていく
正義感の強い新人警官という図式自体は、さほど真新しいものではなく、どちらかといえば類型的ですらある。
呉原市(呉市か?)の博徒系ヤクザvs 新興のあくどいヤクザの図式、
ヤクザから一目置かれる筋の通ったマル暴デカの秘められた過去、
マル暴デカを排除できず利用する警察幹部、などなどはあまりにもありふれた展開だが、
広島弁が入り乱れるヤクザ、警察の混乱に知らぬ間に引き込まれてしまう。
物語全般に一つのレジェンドが忍び込んでいるいることは冒頭から容易く気付くほどに、
サスペンスとしてもそれほど緻密なものではない。
しかしながら、それでもヤクザと警察官の生きざまが僕を魅了する、
それほどまでに語り口はハードボイルドだった。
女性作家のポリスハードボイルドストーリー、時代は確実に変わってきている。
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