エレジーは流れない (2021/5/28)

文字数 813文字

2021年4月25日 第1刷発行
三浦しおん
双葉社



帯にある宣伝コピー :
「毎日ひたすら平穏に暮らしたいと願う男子高校生の怜。けれどもお構いなしに騒動は降りかかる。なりたい職業、将来の夢。そんなものは何もない!モヤモヤした日常を吹き飛ばす青春群像小説」

主人公が男子なのは、いかにも残念だけど僕の大好きな学園青春ジャンルだ。
なんといっても著者:三浦しおんさんが決め手になる、何かやってくれそう・・・と。
三浦さんのジャンルは幅広いのですべてフォローしきれないでいるが、大好物だった「まほろば駅前シリーズ(2006年~20013年)の匂いが漂ってきた本作だった。
物語りの背景は、今はさびれている温泉町に生まれた幼馴染高校生男子5人が経験する2年生から
3年生までの出来事、グラフィティ。
主人公には二人の母親がいる、月に一度泊まりに行く母親は金持ちの経営者、普段は流行らない温泉街の饅頭屋の母と暮らす。
物静かな(地味な)喫茶店の美術部員、脳筋肉なサッカー部員、恋人命の野球部員、老舗旅館の跡取りが主人公を取り巻く。
出生の秘密に主人公が触れていかないところがもどかしいのだが、これも小説作法 後半で一気に露わにされていく。
ということで、前半はありきたりの高校生活が面白おかしく物語られる、そう・・・本作はコメディタッチの学園ライフ満載だった。
途中から、ふと…これって「まほろば駅前シリーズ」の若返り版ではないかと邪推する、そのくらい愉快、読みながら声出して笑ってしまう。
そう言えば、まほろば駅前シリーズは、直木賞作品で3シリーズまで引き延ばされたことを思い出した、最後は無理があったことも。

本作は、いわゆる「青春の旅立ち」寸前で終了している、もしかしてこれからこの5人の仲間画入り乱れるお笑いシリーズになるのでは?
本気でそう願っていた。

伊豆の山々 月あわく 灯りにむせぶ 湯のけむり・・・という「湯の町エレジー」はまるで似合わない爆笑小説だ。
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