成瀬は天下を取りにいく  (2024/4/18)

文字数 772文字



2023年315日 発行  2024年2月5日 11刷
著者:宮島美奈
新潮社
 
2024年本屋大賞作品、手にしたときは何と《11刷》!大ヒットしていたんだ。
近年 読書傾向が保守化・・・というかマンネリしていた結果なのだろうが、そのためにも本屋大賞作品を拝読するのが、自らの老化と世間のずれを修正するためなのだから、コンセプトどおりここは素直に反省していこうと思った。

おそらくは、本書の表紙(添付写真)だと、ぼくは本作には手を出さなかったろう。コミックの匂い芬々、いや もしかしたらコミックだと思って回避したかもしれない。

内容はというと、案の定コミックテイストだった、しかしテーマは「多様性」の豪華絢爛絵巻物、あっさりと読み進んで、じっくりと心に残る青春物語だ。
主人公 成瀬あかりが滋賀県大津のローカルで過ごす一人だけの青春に巻き込まれていく周辺の人たちすべてが愛おしくなる。
通常生活からのけ者にされてきた成瀬のような一風変わった性格者を堂々とど真ん中に据えた構成が本作のそもそもの勝利だろう。

①地元デパート閉店に際し、夏休みを捧げて想いを伝える成瀬 【ありがとう西武大津店】
②漫才をしたいと思い立ちM-1に申し込む成瀬【膳所から来ました】
③デパート閉店に青春を思い出す中年男たち、成瀬スピンオフチーム番外編【階段は走らない】
④成瀬は高校生に、そこで新たな友達と出会う【線がつながる】
⑤成瀬の生き方、その恋愛観【レッツゴーミシガン】
⑥成瀬の旅立ちと友情【ときめき江州音頭】
以上6章すべてが今まで経験したことの無い読書体験となった。

強いて言えば、三浦しおんさんの軽妙タッチに被るものがあるが、徹底的底抜けに能天気な展開が比類なく突き抜けている。
やはりコミックタッチというのが適切なのかもしれない、そして老人にはこの程よいぬるさ加減が好ましくもあった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み