判決破棄 (2015/7/13)

文字数 667文字

2014年11月14日 第1刷
著者: マイクル・コナリー
講談社文庫



マイクル・コナリー 最新翻訳。
法廷小説だからリンカーン弁護士シリーズ第3作ということになるのですが、
ハリー・ボッシュとの対等な共演になっています。
もともとハリー・ボッシュは根っからの敏腕殺人課刑事、
対する腹違いの弟ミッキー・ハラーはロス随一の私設刑事弁護士だから
敵対することはあっても協力する立場になりません。
そこは、マイクル・コナリー、
今回はハラーが特別検察官に任命され再審裁判で市民側(告発側)になるという
離れ業をやってくれています。

ハラーの元妻の検事補マギーを含めた3人のチームが、幼児殺害で24年間服役していた犯人と対決するという、またもやスリリングなお話になっています。
ボッシュとハラーの対等の競演ですから、章単位でボッシュ、ハラーが交代で一人称で語り、
その合間に三人称描写でその息苦しさを開放している工夫がされています。
ボッシュの強引な捜査、鋭い勘に対してハラーの正義感、熟慮が交互に楽しめる趣向になっていて、ファンにはたまらない贅沢です。
2大シリーズ主人公機会均等演出はコア読者には良いのですが、初心者がこの作品から入ると戸惑うかもしれません。
明らかに本作はボッシュ・ハラーのファンのためのものです、大いに楽しませていただきました。
再審の有能弁護士、被告を行確する特使捜査隊(SIS)メンバーなどとのエピソードもいつものように楽しませてくれて、
今回は強烈な結末が待っています。
いつもの「どんでん返し」未遂の不満が残りますが、それを超える重厚な結末でした。
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