静かなる炎 (2014/5/13)

文字数 752文字

2014年1月22日 第1版
著者:フィリップ・カーン
訳:柳沢伸洋



ミステリー界で「ベルリン三部作」と称賛されている
【偽りの街】(1989)、
【砕かれた夜】(1990)、
【ベルリン・レクイエム】(1991)。
このトリロジーは著者フィリップ・カーンの処女作からの3連続作品でもある。
3部作はベルリンで生きる私立探偵ベルンハルト・グンターの暗い時代(1936年~1947年)
を生きた男のハード&タフネスが描かれていて、僕の【還暦文庫】においても特別愛着のある
シリーズだ。
カーはこの3部作の成功を引きずることなく、この後15年間縦横無尽なミステリーワールドを提供してくれた。
3部作はいずれ改めて読み返すことにしているが、
2006年突然3部作の続きが発表された、【変わらざるもの】。
そして5作目が本書【静かなる炎】(2008)と続き、2013年時点で
9作までが書き継がれている。
いやはやとんでもないことになってきている。
本作は前作の最後でナチ亡命支援でヨーロッパを離れた主人公が
アルゼンチン、ブエノスアイレスに到着するところから再開する。
ファシズムを信奉するペロン大統領、妻エビータとの親交などの余興もあるものの、
秘密警察によってまたこの地にて行方不明になった少女を探すことを強要される。
ナチ高官、親衛隊員が多く逃亡しているアルゼンチンでグンターが遭遇した国家秘密。
本作では1932年にベルリン刑事警察で少女猟奇殺人を追うグンター警部の姿も
フラッシュバックで描かれている。
1950年のアルゼンチン、隠されたナチの隠し資金、美貌の亡命ユダヤ人女性
・・・いつもながら「生き抜く」主人公が鮮烈に浮かび上がる。
6作以降も早く読みたい、完結まで読み進みたい、
しかしそうすれば還暦文庫として名作3部作を読む日はいつになることか?
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