ヒューマン・コメディ (2017/10/22)

文字数 634文字

2017年8月20日 初版第1刷発行
著者:サロ-ヤン  訳:小川敏子
光文社古典新訳文庫



1943年の小説だから古典と云っていいのかどうか微妙なところだろう。
新訳になったとのことだけど、旧訳を知っているわけでも再読でもなかった。
もっと言えばサローヤン作品はこれが初めて、この年になって初の巡り合いだった。

表紙裏の作品紹介にはこうある:
《第二次世界大戦中、カリフォルニア州伊坂のマコーリー家では、父が死に、長兄も出征し、
14歳のホーマーが学校に通いながら 電報配達をして家計を助けている。彼は訃報を届ける役目に戸惑いを覚えつつも、町の人々との触れ合いの中で成長していく。 懐かしさと温かさに包まれる長編》

まさにその通り、僕は読み終わった後温かさに包まれる、そして自分の生き方を反省する。
マコーリー一家の人々の優しさと強靭さには周りの人たちを包み込む抗いがたい力がある。
行為や運命を憎悪しても決して人間を憎むことはない。
それは宗教に根差すものでもないようだ。
こんな庶民がひっそりとしかし力強く生きていることが、アメリカンウエイなのだろう。
マコーリー家の人たちを理想のアメリカ人に仕立てたサロ-ヤン、そこには亡命アルメリア人の苦悩が見え隠れしている。

ところで、「コメディ」はダンテの「神曲 (La Commedia)」と同じ意味合いで使われている、
コメディとは平易な言葉で綴られた最後にはハッピーに決着する物語だという。
本作の結末は人間の成長という意味ではハッピーだけど・・・。
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