鍵のない夢を見る (2018/9/8)

文字数 479文字

2015年7月10日第1刷
著者:辻村深月
文春文庫



辻村作品を初めて手にしたのは2018年本屋大賞「かがみの孤城」だった、
そこに深い感性とストーリーテラーを発見し、必ずフォローすると誓った。

まずは、直木賞受賞作である本作、短編集を取り寄せる。
5編の短編は「仁志野町の泥棒」、「石蕗南地区の放火」、「美弥谷団地の逃亡者」、
「芹葉大学の夢と殺人」、「君本家の誘拐」、
一見クライム連作のように見えるがそうではなかった。
5編すべてが女性視点で語られている、そこにあるのはプチホラー。
日常で女性でしか感じ取ることができない心の襞の数々、高齢男性の僕には新鮮な短編たちだった。
盗癖の母親に悩む幼馴染との思い出、プライドの高い勘違い女性の妄想、夏の日のある犯罪、
ダメ男との切ない道行、育児の白昼夢。

確固たる女性の視点で進行する短編、普通の女たちの想い、悩み、悔い、願いが込められていた。
こんなにも人間は愚かで可愛いものだった。

直木賞作は著者の代表作でもベスト作でもない、通常は。
しかしながら作者の心根が見えてくる時がある、
僕は人間の心の闇に目の前がちょっと暗くなってしまった。
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