失敗の本質 日本軍の組織論的研究 (2015/9/24)

文字数 708文字

1984年5月 発刊 1991年8月5日文庫初版、2014年8月20日 54刷
著者:戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎
中公文庫
 


終戦70年記念ブックレビュー(その3)は、
まんまと出版社企画にはまってしまったようです。
実際の発刊は戦後40年、いまから30年前、バブル経済のころです。
つまりは、70周年ではなく40周年の節目に世に問うた「日本人論」でした。
宣伝帯の「累計65万部」がいじらしく思えてしまいますし、サントリーの社長さんもとっても温故知新な方です。

内容は日本軍(今の自衛隊ではなく帝国軍体)の負け戦を6例挙げて検証し、
その失敗を探っています。
検証例は、①ノモンハン事件 ②ミッドウェイ作戦 ③ガダルカナル作戦 ④インパール作戦 ⑤レイテ海戦 そして⑥沖縄戦です。
その失敗研究は、軍事専門からではなく近代組織論から説いています、この点が企業経営者向けのマーケティングなのでしょう。
指摘されている失敗の要因としては;
●あいまいな戦略目的
●短期決戦の戦略思考
●主観的で「帰納的」な戦略策定
●狭くて進化のない戦略オプション
●アンバランスな戦闘技術体系
●人的ネットワーク偏重の組織構造
●俗人的な組織の統合
●学習を軽視した組織
●プロセスや動機を重視した評価
等々が指摘され、最終章でその教訓が意見されています。

大東亜戦争に関しての40年前の指摘が今の日本にも当てはまることに、驚くこともありません。
戦争の後始末をしなかった日本、日本人は結局戦前の問題をずっと引きずっているのでしょう。

40年間から、とうとう70年間も!
その意味では、終戦70周年に版が更新されたことの意義があるのかもしれません。
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