呼び出された男 (2017/10/3)

文字数 805文字

2017年8月15日 発行
編者:ヨン=ヘンリ・ホルムベリ  訳:ヘレンハルメ美穂・他
ハヤカワポケットミステリー



スティーグ・ラーソンの「ミレニアム三部作(2002~)」は世界50か国で翻訳され、約8000万部が読まれたという。
本国だけではなくハリウッドでも映画化された(ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラー主演2011年)、超化け物ベストセラーだ。

遡ること40年前、
マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー共著の「刑事マルチン・ベックシリーズ(1965年~)」が世界のミステリー界を席巻して以来のことだった。
いずれもスェーデンの社会情勢を辛辣に批判する精神に満ちていた、それ以上に僕のような北欧無知には小説の中で触れることすべてが強烈に新鮮だったことが記憶にある。
今ミステリー界は「北欧ブーム」と呼ばれている、フィンランド、ノルウェイを含めた寒い国々のミステリーが面白い。

本作は、その中でもスウェーデン・ミステリーにフォーカスし、アンソロジーとしては初めて英語で出版された異色な企画だ。
今スウェーデンで活躍している(かって活躍したレジェンドも含め)作家20人による17編が収められている・・・かの国は共著形式が多い。
前述のスティーグ・ラーソン10代の頃の習作(失礼)も掲載され、日本での販促のためその作品が表題「呼び出された男」になっている。
17編に共通するように思われるのは社会派ミステリーの趣だった、それはスウェーデンミステリーの伝統のようなものなのかもしれない。
オリジナルタイトルは「 DARKER SHADE OF SWEDEN」、 《ほの暗さのスウェーデン》とでも理解しようか。

僕の気持ちを揺すぶった作品を申し上げておく:
●「現実にはない」 オーケ・エドヴァルドソン
●「瞳の奥にひそむもの」 ダグ・エールルンド
●「カレンダー・ブラウン」 サラ・ストリッツベリ
●「弥勒菩薩」 ヴェロニカ・フォン・シェンク
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