Xの悲劇 (2022/8/5)

文字数 1,050文字

昭和33年10月30日発行 昭和60年12月15日 46刷
著者:クイーン 訳:大久保康雄
新潮文庫



積読解消シリーズ第6弾、本格推理小説の歴史的名作「Xの悲劇」。
しかしながら、本作がどのような経緯で積読になったのか定かではない。本作はあまりにも著名なゆえに、おそらく若かりし頃に読んだはずだから、もしかしてもう一度読むべき「還暦文庫」として保存されていたのかもしれない。
正直なところ、そのあたりの事情には全く記憶がない。
そこで、もう一度読んでいけばこのレジェンド推理小説の粗筋くらい思い出して・・・あぁやっぱり一度読んだことがあるよね・・・という結論になるか、はたまたそうでないかが明確になるという面倒くさい読書前葛藤の末にかなり古い文庫版を手にした。

昭和60年発行ということだから、本文庫も37歳を数えるものであるが、そもそも本書は1932年に発刊されている。
1932年と言えば、満州国が建国され上海事変(戦争)もあり、アメリカでは日本(日本人)の評判が芳しくなかったころだった、そのアメリカ国内ではリンドバーグ愛児誘拐事件が世間を騒がせた頃だった、
・・・このリンドバーグ愛児誘拐事件をモチーフにして創作されたのがアガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件(1934)」だった。
因みにクリスティには灰色の頭脳を持つエルキュール・ポアロ、そしてクイーンには元シェイクスピア俳優のドルリー・レーンが難事件を解決していくパターンになっている・・・

とここまで余計な説明をだらだらと述べているのは、本格推理小説レビューをネタバレ(犯人、手口、解決の決め手、など)なしに書き進めることが困難なので、周辺事情で誤魔化しているからである。
そうはいっても、事件のあらましだけでもお伝えしておく。
ドルリー・レーン最初の事件は殺人事件(三件)の犯人を「X」と仮定して論理的思考だけで犯人特定に至るという、まさに本格推理の教科書のようであるが、元俳優という特徴を生かした変装パフォーマンスがユニークであり、アクション探偵として魅力を振りましたいる。
この変装ネタは脈々と「ミッション・インポッシブル」に受け継がれて・・・とすればクイーンの功績はいかに多大であったかがわかる。

そうそう、本書は再読だったのか、どうか?
90年前の推理小説に今更ながら大きな感銘を受けたということは初体験だったともいえるが、昨日の出来事もさっさと忘れ去る毎日を顧みればそのように断定することもできない、
判定はドルリー・レーンに委ねることにしようかな。
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