鬼火 (2021/9/2)

文字数 826文字

2021年7月15日 第1刷発行
著者:マイクル・コナリー 訳:古沢嘉通
講談社文庫



オリジナルタイトルが【NIGHT FIRE】、
レイト・ショーと称する深夜勤務のレネイ・バラードが遭遇したホームレスの焼死事件を発端とし、ロス市警の元刑事ハリー・ボッシュが恩師刑事から委ねられた未解決事件再調査と交差しながら二人は両案件真相解明に協力していく中で、いつものように、いやいつも以上に錯綜した手掛かりと、複雑なロス市警内の人間関係に苦悩しながらのハードボイルドポリスストーリーシリーズ 一級作に仕上がっている。

本書は著者 マイクル・コナリーの長編33作目、「ボッシュ・シリーズ」としては22作目、「レイト・ショーバラードシリーズ」としては3作目、ボッシュ&バラードのコンビ作としては第二弾になっているほか、ボッシュの異母弟ミッキー・ハラー・リンカーン弁護士もチョイ出演して、
いつになく豪華共演サービスになっている。
ミステリー・ポリスアクションの内容は言わずもがな、いつものジェットコースター展開と意外などんでん返しもたっぷりと仕掛けられている。
僕は、いつものようにその流れに身を委ね、快楽に耽るだけだった。

ところでハリー・ボッシュは1950年生まれという設定であり、物語が現在進行形なので、本書の出版である2019年時点では69歳になり、前々作で痛めたひざを手術し人工関節に替えたり、過去の事件で放射能汚染されたことから白血病を発症したり、まるで同年の僕と同じように加齢による身体不調を抱えているにもかかわらず老齢を感じさせない活躍は、小説だとはいえ僕の勇気を鼓舞してくれる。

 
以前にも記したように、ハードボイルドな一匹狼刑事ボッシュという設定は、女刑事バラードシリーズに継承されていくことは間違いない。
あとは現在65歳のマイクル・コナリーがどこまで、この素晴らしい物語を紡いでいくことができるか?
できることならば、僕の寿命の尽きるまでお願いしたいものだ。
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