神々の黄昏 (2013/10/14)

文字数 652文字

1945年発表、1992年ハヤカワ文庫ノンフィクション
著者:アラン・ムーアヘッド 訳:平井イサク



戦争特派員(War Correspondent)はかってはロマンティックな職業と言われていた。
ヘミングウェイ、アーウィン・ショー、フォーサイスなど
その後作家として大成した記者も多数いた。
残念ながら湾岸戦争以降は、戦争自体が劇場化され、観客である一般市民は
統制された現実しか知ることができなくなっている、
あたかもリアルタイムの真実のような現実しか。

【神々の黄昏】はアラン・ムーアヘッドがイタリア上陸からノルマンディ作戦、
それに続くパリ解放、マーケットガーデン作戦(アルンヘム)、アルデンヌの戦いを経て、
ドイツに侵攻し闘いの終了するまでの2年半、最前線にいて見聞きしたことを
戦後すぐまとめた従軍ルポルタージュだ。

最前線にいるだけのことはあって、ドイツ精鋭機甲部隊がイギリスの砲撃で
撃ち壊されるといった迫力に満ちた記事をレポートしている。
しかし著者が伝えたかったのは「この戦争は一体なにか?」という彼の想いであった。
イタリア人がムッソリーニに、ドイツ人がヒトラーに期待したものは何だったのか?
フランスはいかにして4年間の占領国からヨーロッパの列強に一夜にして復帰したのか?
ドイツの占領政策の亀裂は何だったのか?
フランスはじめ、ベルギー、オランダ、デンマーク、ノルウェイそれぞれにおける
「解放の喜び」の違いは何だったのか?
そして人は何のために戦うのか?

オーウェルの【カタロニア戦記】とともに戦争ルポルタージュの傑作。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み