脱 大日本主義 「成熟の時代」の国のかたち (2017/8/20)

文字数 1,044文字

2017年6月15日初版第1刷
著者:鳩山友紀夫
平凡社新書



正直なところ、思いがけず感動してしまった。
今や、政治家でもない鳩山さんが後輩政治家たちに贈る提言だという。
以下の章立てになっている:
第一章 大日本主義の幻想
第二章 自立と共生への道
第三章 「成熟の時代」の国のかたち
第四章 脱 大日本主義へ
この章立て文章では本書のエキサイティング状況は全然伝わらないだろう。
以下、心に響く記述をランダムのご紹介する・・・
●米国によるグローバリズムの時代は終わろうとしていますが、アジアさらにユーラシア大陸においては中華圏化という変種のグローバリズムにどう対応するかという新たな問題に直面しているのです。「自立」が国民国家の本能だとしたら、この問題に上手く応えられない国はいつか国民的統合の危機に瀕することになるでしょう、これが本書の主要なテーマである、《弱まっていく米国覇権と台頭する中国》の狭間で、日本が自立していく道はあるか」という課題にほかなりません。
●政治の目的は「生長」ではなく「人間」でなければなりません。経済政策の目標を《高い経済成長》や《世界一企業が活動しやすい国》に置くのではなく、「人間のための経済社会」に置くべきだと改めて提唱したいと思います。
それは成熟国家の経済政策であり、成長戦略ではなく「成熟戦略」と呼ぶべきものです。
●現在は中国のみならず北朝鮮も核保有国になってきていますので、これに対抗するして韓国や日本の国内にも核武装論が再び登場してきつつあります。私は核武装論を認めるわけにはいきません。北朝鮮の核やミサイルの対象は米国であり日本ではないのですが、対米従属が続く限り米軍基地がある日本が狙われる可能性はあります、60年代に高坂正堯氏が説いたように、私も今は米国との従属関係を弱め、周辺諸国に対する外交能力を高めることで、地域の緊張を緩和することができると考えています。

現在の親米保守路線、米国追従が安全だと思うか?
中国の経済力を無視することはできないと思うか?
どちらでもない第三の道があると思うか?
今思えば、政権当時の鳩山氏の政治哲学はかなり時代の先を進んでいたようだ。
アメリカトランプ政権の混乱を見るにつけ、安倍政権の右往左往を悲しむにつけ
鳩山政権の短命と非力が悔やまれてならない。
今、鳩山氏が提案する二つの政策:
①大日本主義の象徴でもある国連常任理事国を目指さない
②原発をやめる(核武装幻想を捨て去る)
ここからが始まりだろうな。
「こんな人たち」必読の一冊です。
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