海と月の迷路 (2014/4/7)

文字数 621文字

2013年9月20日 第1版
毎日新聞社
著者:大沢在昌



第48回吉川栄治文学賞作品・・・ということで実に久々に在昌さんの作品に手を付けた。
彼の作品カテゴリーは幅広くライフワーク(らしい)の「新宿鮫」のポリスストーリーから、
「佐久間公」シリーズの人探し探偵に至る渋いハードボイルドが基調ではあるが、
ポップコメディ、SFの味付けの作品も多数ある。
このあたりに僕は疲労してしまい、近年は「新宿鮫シリーズ」だけフォローしていた。

で、吉川栄治文学賞のご祝儀もあって読み始めたが、長編を一気に読む羽目になってしまった。
新宿鮫シリーズにもあるように場所の設定が秀逸だ、今回は長崎に浮かぶ有名な「軍艦島」。
時代設定は昭和34年だから、まさに高度成長が始まったばかり、
軍艦島での採炭がその下支えをしていることが物語のベースになっている。
この島は最近では「007スカイフォール」でも撮影地として使用されたように、
今は廃墟の世界遺産になっている。
その全盛期、300x500mの島には5000人が居住し、3直で24時間操業していた。
この島に赴任した若い巡査が目にした遮蔽された島の治安体制、
警察ではなく企業の自警組織が島を管理している。
法の執行と正義を全うしようとする主人公と島の体制との軋轢の中 発生する少女の不審死。
ひとり捜査を続ける主人公に待ち受ける試練、台風の中で迎えるクライマックス。
新宿鮫のテーマに近いものがある。
この作品は気に入った、まだまだ在昌健在なり。
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