小林秀雄 学生との対話 (2014/5/11)

文字数 720文字

2014年3月20日初版、4月25日第3版
国民文化研究会・新潮社編
 


九州で毎年8月に開催されている「全国学生青年合宿会議」の講師として
小林秀雄は昭和36年から昭和53年の間に5回講義している。
本書はその中の講義を2回、講義の後の学生との対話記録すべて5回を収録している。
講義録とはいえ、講義内容は本人の強い希望で、学生の聴講記録として話し言葉から、
書き言葉への本人による調整変換がなされている。
今回特に学生からの質問に対する応答がすべて文字化され、
小林秀雄の「会話教育」、「質問教育」の一端を知ることができる貴重な資料になっている。

曰く:
『質問するというのはむつかしいことです。本当にうまく質問することができたら、
もう答えはいらないのですよ。・・・・・・・僕ら人間の分際で、この難しい人生に向かって、答えを出すこと、解決を与えることはおそらくできない ただ、正しく訊くことはできる。』

参加した学生の緊張した質問、考え込んできた質問を読んでいて
僕自身どこかこそばゆくなってくる。
対するその答が、自然で飾ることなく、しかし断固とした信念と豊富な批評の蓄積であることは半世紀を経た今になっても感動する。

最後の講義からでも36年が経過が経過しているが、下記の発言が身に沁みた:
『・・・あんまり科学というものを理想的な形だと見て、科学で何もかもうまくいくと思ってはいけないのです。 いつでも人間というこの厄介なものが科学にぶら下がっている、それを忘れてはいけない。 人間が科学にどういうところまでぶら下がっているか、そこをはっきり知って、あとは理性を働かせればいいのです。・・・』

理科研の方々に「大和心」など分かりはしないとは思いながら・・・・・。
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