逃亡小説集 (2020/3/13)

文字数 475文字

2019年10月4日 初版発行
著者 吉田修一 
角川書店



映画化にもなった「犯罪小説」の続編のようなもの、柳の下二匹目を狙ったのかな?

4編の短編から構成されている:
●逃げろ九州男児
●逃げろ純愛
●逃げろお嬢さん
●逃げろミスターポストマン
創作手法も前作と同様に世間の注目を浴びた事件をベースにした再現風のフィクション。
母親を同乗させたまま暴走する息子、
教え子を愛してしまった中学校女性教師、
夫の麻薬疑惑から自分の罪も暴かれる元アイドル、
郵便物を積んだ車と一緒に行方をくらます青年、
どれも、「あぁ あれか」という想いで読み進むことになる。

前作がどちらかといえば凶悪事件を取り上げたのに反して今作のテーマは「逃亡」ということで、お得意のソフト吉田修一節が炸裂している。
人はどうしようもなく追い詰められると「逃げる」ことしかできないのかもしれない。
逃げるは恥だが役に立つ…かも?
それは精神的な意味ではなく、本作のように思いもつかない行動で表現してしまうのだろう。

どこにも逃げ場のない毎日を過ごしていると、こんな「逃亡」も羨ましくなる・・・ちょっと怖い短編集だった。
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