テロルの決算 (2013/11/6)

文字数 530文字

1978年発表、1982年文春文庫第1版
著者:沢木耕太郎



31年前の文庫も古いけど、事件そのものも53年前の1960年と古い。
安保闘争に揺れに揺れた日本の危機状態の中で交錯した17歳の少年と
61歳の老練政治家のノンフィクション。
沢木さん初の長編作品、大宅ノンフィクション賞受賞作でもある。

60年安保と言ってもその実態を覚えている人が少なくなっている。
偉そうに言っている僕自身その当時10歳、小学3年生だった。
1960年は日本が大きく変化するターニングポイントであった。
日本全国で日米安保条約反対の声が高まっていた。
国会議事堂にデモ隊30万人がなだれ込み死傷者が出た、
今でいうところの「アラブの春」状態であった。
10歳の子供たちの遊びは「デモごっこ」、掛け声は「アンポハンタイ!」だった。

この日本の危機状態の中で右翼的思想を持つ少年「山口二矢(オトヤ)」が
当時の野党第一党社会党委員長浅沼稲次郎を刺殺する。
沢木レポートは少年のみならず、老政治家の出自を追い二人の邂逅まで至る展開になっている。
おとなしい真面目な少年、善良としか表現のしようのなかった委員長が
なぜ日比谷公会堂で刃物を媒介にして巡り会うことになったのか。

現代日本におけるノンフィクションの金字塔である。
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