三体 Ⅱ 暗黒森林 (2020/7/8)

文字数 1,068文字

2020年6月20日 初版印刷 6月25日 初版発行
著者 劉慈欣 訳 大森望、立原透耶、上原かおり、泊功
早川書房



「三体」第二部も上下巻、各300頁余のボリュームになっている。
そして「三体」は三部作、まだ終わっていないのだと!
第二部 暗黒森林を読み終わってこの壮大すぎるSF叙事詩は大団円のもとに結び終えたと思ったのに、まだ続きがあるとは! その意味では中国の伝統である(と思っている)長・重・大の歴史絵巻を本書もしっかりと受け継いでいる。

本書 第二部が中締めのような位置にあることは、少なくとも第一部があまりにも回りくどい長・重・大のプロローグだったことから、今ようやく納得できる。
そうすると、第三部「死神永生」の新たな展開が気がかりで気がかりで、第二部終了の感激も120%にはなれないで、100%にとどまる。ということでもうすでに来春の邦訳が待ち遠しい、英訳を読むほどの根性もないし中国語はさっぱりだから。
さて、
第二部は第一部で4世紀半後の人類滅亡を覚悟した人類がどのようにその対応策をしていくかが綿々と綴られる。
ここでは、スペースオペラの要素も取り入れたエンターテイメントSFらしい展開になるわけであるが、そこに注ぎ込まれたエピソードは斬新で、ある意味で中国風味なのがユニークかもしれない。中国は、経済のみならずSF文学でも世界をリードしたことに間違いはない。
余りにも沢山のそれでいて細密な仕掛けのすべてをお伝えすることは道義的にもできないが、以下にそのエッセンスだけお知らせする:
●三体世界はスーパーコンピュータ「智子」を地球に送り込み人類の活動をすべて監視し、物理学はじめ人類の科学の進歩を止めてしまう
●「面璧者」 4半世紀後の三体星侵略を阻止・打破するために全権を託され地球リソースを無限に使うことができる個人、4名任命される
●「破璧人」 三体星を信奉し、面璧者の思考を暴く使命を持つ地球人
●「面璧者」は最後まで誰にも策を明らかにする必要はない、4人の個性的なアイデアが見もの
●三体艦隊に対抗して宇宙艦隊を設立し、それ自体が一個の独立国体制を形成する

以上は物語のほんのひとこまであり、三体世界の執拗な監視と攻撃、200年の冬眠後に面璧者が見た大きく変化した地球、
新たな三体との戦い、そして・・・・中締めとしての結末が待っている。

僕が経験したSF大作小説は数多くあるが、これほどまでに壮大でアイデアに満ちて波瀾万丈に満ちた作品は知らない。
そしてその長さから見ても超弩級だ、何せまだ第三部があるというのだから。
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