レイトショー (2020/3/23)

文字数 760文字

2020年2月14日 第1刷発行
著者 マイクル・コナリー 訳 古沢嘉通
講談社文庫



マイクル・コナリーによる30冊目の小説、
だが その主人公はなんとボッシュでもミッキーでもない。

ロス市警の夜勤女性刑事、レネイ・バラードという新しいヒロインが誕生した。
マイクル・コナリー60歳からの新しい挑戦が本作だという。
若い独身の女性刑事、ハワイ出身、昼間は愛犬のローズ(ピットブル)と海岸で過ごすヒップな存在。
ロス市警強盗殺人課から左遷されての夜勤(レイトショー)勤務、それはあくまでも昼間の捜査の初動のみ。事件を担うことの無い欲求不満に妥協する役割でしかないレイトショー。

まずもってこの設定が強烈である。
しかしながら、定年延長を経てロス郊外の警察のパート刑事になってしまったハリー・ボッシュの代替ポリスストーリになるのは間違いないだろう。
そのくらい、第一作は新鮮で魅力的でダイナミックな展開になっている。
レイトショーならではの窃盗事件、ゲイ傷害事件を捜査する中で起き上がる5人の銃撃殺人事件、
元パートナー刑事の殺害、そして主人公本人に対する拉致誘拐事件などが息つく暇なく主人公を追いかけまわす。

刑事として悪を憎み、組織に飲み込まれることなく自分の道を進むレネイ。
若きボッシュを彷彿させる主人公のなかに、僕はもう一度刑事成長物語を期待する。
お決まりのように、レネイには謎が多くある、これらはこれからのシリーズのなかでテーマになってくるに違いない。
海で行方不明になったきりのサーファーの父親、小さい時に育児放棄し離婚したという母親、
レネイを一人で育てててくれた祖母、レネイを追い出した元上司との確執、覇気のない無欲な現在レイトショーパートナー刑事、
第二作がもう待ち遠しい。
なにより、まったく老いを感じさせないマイクル・コナリーが羨ましい。
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