777 トリプルセブン (2023/9/26)

文字数 798文字

2023年9月21日 初版発行
著者:伊坂幸太郎
角川書店


「グラスホッパー(2004)」、「マリア・ビートル(2010)」、「AX アックス(2017年)」に続くコミカルハードボイルド殺し屋シリーズ第4弾、主人公七尾(てんとうむし)は、マリア・ビートルで東北新幹線内大量殺し屋対決に生き残ったあのもっとも運の悪い殺し屋、今作でもその運の悪さが物語のエッセンスになっている。
マリア・ビートルはハリウッドで「ブレット・トレイン(2022)」としてシネマになり、七尾をブラッド・ピットが演じたのはつい最近の快挙だった。

マリア・ビートルの4年後の物語という設定になっている、主人公は今や業界ではあの新幹線事件伝説のヒーローとなっているが、相変わらず運が悪い、それも徹底的に。
今作ではある人物に誕生日プレゼントを宿泊先ホテルに届けたことから、その悪運の歯車が動き出す。
そのホテルには闇業界の秘密を知った女、その奪回のための殺し屋が6人、女を逃がす殺し屋が3人、政府の要人が2人、取材記者が1人、クリーニング業が2人が集結していた、その真っただ中に嵌まってしまう主人公。
ホテルを出てしまえば主人公の仕事は終わるのだが悉く失敗する、または残らざるを得なくなる・・・マリア・ビートルのケースと同じである。

本作はマリア・ビートルの舞台だった東北新幹線を高級ホテルに移し替えただけだともいえる、電車車両を移動するようにホテルの各階、各部屋に殺し屋たちが出没する。
鍛え磨いた殺し屋得意のテクニックが見もの、因みに銃の類は一切使用されない、日本は銃規制が厳しい。

お約束の大どんでん返しもきっちりと用意され、血なまぐさい展開からかけ離れた温かい大団円を迎える、伊坂幸太郎 筆の見せ所だった。
この調子だと、てんとうむし七尾シリーズはまだ続いていきそうだ、またハリウッドがシネマ化してくれてブラッド・ピットに会えるといいのだけど。
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