パードレはそこにいる (2017/7/10)

文字数 687文字

2016年9月25日 発行
著者:サンドローネ・ダツィエーリ
訳:清水由貴子
ハヤカワ文庫



イタリアで最も新鮮なサスペンススリラー作品との触れ込みの通り
その設定、語り口ともにグローバル規格になっている。
著者は、長年TVや映画の脚本を書いていたというのも現代の流行作家キャリアらしく、
まるで映像を見ているような展開に魅せられる。
主人公は、ワンダーウーマン女性捜査官と心に暗い傷を持つ犯罪コンサルタントのコンビ、
これも流行りのパターンだ。
物語は、行方不明になった少年の捜査に二人が関わるところから始まる。
女性捜査官はテロ爆発で負傷し現在は休職中、コンサルタントは自分も昔長期間誘拐されことのある男、
この辺りからイタリアンの色合いが濃くなってくるのは、僕が今まで知らなかった男女コンビの息遣いのせいだったのか。
男たちがみな振り返るような美女でありながら犯罪を憎むコロンバ、トラウマの閉所恐怖症に苛まれ乍ら恐怖経験を活かそうと悩むダンテ、容姿はじめ一切が明らかでない犯人パードレ(父親の意味)の存在を信じるのは二人だけ、
イタリアの複層する警察組織と官僚主義の重圧に進まない二人の捜査活動、そんな中で二人の友情が強固に結ばれていく。

宣伝コピーにある「一気読みとはこのことだ(ジェフリー・ディーヴァー)」 、
「目をみはるほど斬新なページ・ターナー(ジョナサン・ケラーマン)」
は決して誇張表現ではなかった。

本作の展開は全く予想外、スケールの大きなサスペンスにビルドアップされる、
あれよあれよという間に。
今作好評につき、コロンバ・ダンテ コンビ第2作もすでに翻訳発行されている、当分お楽しみは続く。
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