三体 (2019/9/7)

文字数 655文字

2019年7月15日 初版発行、7月24日 10版発行
著者:劉 慈欣  訳 :大森望 光吉さくら ワン・チャイ 立原透耶
早川書房



《 現代中国最大の衝撃作 》との触れ込みのSF大河小説がようやく日本で刊行された。
香港でも台湾でもない中国のSF 小説、興味津々の意気込みで読ませていただいた。
僕が途中で気付いたのだが、実は宣伝コピーにもあるように、本書は「コンタクト(カール・セーガン)」、「幼年期の終わり(アーサー・C ・クラーク)、そして僕の信奉書「果てしなき流れの果てに(小松左京)」をすべて包み込む壮大な夢と恐怖をテーマにしている。

実は三部作の第一部ということ、事件の発生と問題の解明が第一部のミッションのようだ。
内容の詳細を述べる愚かな真似はしないけど、本書のエッセンスと思われるポイントを称賛しておきたい:

●プロローグに相当する「文化大革命」のなかでしぶとく生き残る科学者は、現代の中国科学発展の原点。
●かなりの割合で照会されるRPG 「三体」の内容の不可解さが、後半の合理的解説につながるカタルシス
●中国らしい、というか宇宙SF としての壮大なテーマ、そしてサスペンスタッチの中国警察の活躍
●地球を破壊する人類、それを阻止しようとする人類、あきらめる人類、決してあきらめない人類、僕は果たしてどこに入るか?

SF 小説としても異色の難解な記述が多数あるが、そこすら理解したように思わせるテクニック、
なによりも人類の遠い未来を今現在の問題と語りかける手法、ヒューゴ賞受賞も納得の大作(その第一部)だった。
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