悪魔には悪魔を (2021/5/23)

文字数 794文字

2021年4月10日 発行
大沢在昌
毎日新聞出版



広告・宣伝行為というものは商品を売るためのもの、販促活動の一環と思うのである。
【羊頭狗肉】ということわざが古くからあるように、インチキな広告もあることを知っているくらいの齢も重ねてきたつもりでもある。
しかし大沢在昌さんのポリスストーリとあれば、古くからのファンであれば食らいつくのでもある、たとえ狗肉であろうとも。

新宿鮫シリーズ、佐久間公シリーズのハードボイルドタッチに魅せられ、今もその余韻を追い続ける僕ではあるが今回は羊頭の匂いに惑わされてしまった。
毎日新聞の広告、それも2回立て続けに出された「絶賛コメント」付きの広告コピーに疑念がわいたのも事実だった、繰り返しになるが売れないものでも無理やり売るのがマーケティングという代物だから。

無論 大沢在昌さんには上記代表作シリーズ(あまたの文学賞を受賞している)のほかに、コミカルラインはじめ恐ろしいほどのジャンルにまたがる小説を世に送り続けている、多作作家なのである。以前にそのことに気づいたものだから、僕は上記シリーズフォローに集中して大沢作品を追いかけてきている。
ただし単発の名作「海と月と迷路」 などもあるので、注意しながら目を光らせているのだが、肝心の2大シリーズの続編が乏しい現状だ。

ついつい、宣伝コピーにつられてしまうということになった。
物語りは双子兄弟の弟が行方不明になった兄を探すというテーマ・・・ありきたりだ。
兄は麻薬捜査官で潜伏中に失踪、弟は20年間アメリカにいて帰国したばかりの元レンジャー隊員・・・超現実離れしている。
主人公である弟が兄の身分にすり替わって麻薬組織を捜査し、兄の消息を探るという荒筋だ・・・手垢に塗れた設定だ。
兄の恋人、仲間、親玉、ヤクザ、警視庁刑事、裏切り者がぞろぞろ出てくる・・・リアリティに全く乏しい。

ということで 本作は100%の駄作だった。
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