100年予測 (2014/8/28)

文字数 695文字

2014年6月15日
著者:ジョージ・フリードマン  訳:櫻井祐子
ハヤカワノンフィクション文庫



21世紀を地政学の見地から透し見た,かなりスリリングな論文だ。
宇宙戦争の記述などはC・クラークも顔負けのユニークかつエキサイティングな描写になっている。
と言っても、エンタテイメントを目的とした書き物ではない。

人間は、つまるところそんなに自由な発想や行動ができない。
まして、国民国家の立場からすればその存亡と危機回避のため、合理的であれと願いながら、
乏しい選択肢しか残らない。
歴史は繰り返す・・・というわけである。

本論によれば、21世紀、これから約100年はアメリカの飛躍的な繁栄の時代になるそうだ。
そのアプローチ、背景洞察が興味深い。
著者自身、将来のことは予測できない、その詳細などもってのほか…と言いながら、
どのように推論していくかが重要だと強調する。
いずれにしろ、面白いことに変わりはない。
地球の全権を掌握するには海洋制覇が必須だとするならば、中国、ロシアはいずれ崩壊し、
地域別の分権に行きつく。
そしてその強権に挑戦するのは、トルコ、日本、ポーランドだそうだ。
そのいずれもがアメリカの前に屈する。
アメリカは2080年にはかって地球上の国家が持ったことのない繁栄と覇権を手にする。
宇宙での太陽光エネルギーを独占し、ロボット工学に裏打ちされた軍事力で今まで以上の傲岸に成り上がる。

しかしそこの敵対するのが、地政学的に見てメキシコなのだそうだ。
へたなSF小説より面白いと言ってはいけない。
将来予測のキーワードは「想像できないことが起きる」ということらしい。
ウクライナ、中国、シリアにその兆候を感じる。
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