マリアビートル (2017/11/16)

文字数 730文字

2013年9月25日 初版発行
著者:伊坂幸太郎
角川文庫



あんなに好きだった伊坂幸太郎の本を近年読んでいないことに突然気付いた、認知症の揺り戻しだろうか?
早速、中古本を探して入手した、今はネットで超簡単、便利になったものだ。
そこでまずリカバリー第一編として名作(グラスホッパー)の続編の位置にある本作(マリアビートル)を手にした。

疾走する東北新幹線盛岡行きの電車に乗り込んだ職業「殺し屋」ご一行様が繰り広げる密室サスペンスとバイオレンスが炸裂していた。
グラスホッパーの続きということで一部分前作の登場人物が再登板しているが、本作の流れにおいて前作を知る必要はない。
あの懐かしの人々のその後がちらっとうかがい知ることができるというマニアックな楽しみもあるが、本編を堪能するには無関係だ。

物語の大筋は、裏稼業のドンの息子を救出し身代金も取り戻した殺し屋二人組(蜜柑と檸檬)がその身柄と金の詰まったトランクを新幹線で移送するところから始まる。
この列車に居合わせるのが、個人的復讐のために拳銃を持って乗り込む元殺し屋(今はアル中)、
そのターゲットであるサイコパスの中学生、意図が不明な毒殺専門の殺し屋(スズメバチ)、
トランクだけ強奪する依頼を受けた世界一ついていない殺し屋(テントウムシ)、
そして新幹線の外からも、彼らをサポートする仲介業者、マネージャー(?)、身内達が重層的に絡んでくる。

さてさて、誰が生きて盛岡にたどり着けるのか? トランクの行方は? だれが本当の黒幕なのか? 
伊坂幸太郎のスピーディな展開を堪能できる。
第1作「グラスホッパー」がプライベートリヴェンジがテーマでファンタジーの要素も強かったが、
本作は全編舞台が東北新幹線のなかというリアリズム、今後東北新幹線に乗るのが楽しみになってきた。
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