新宿鮫 (2013/12/8)

文字数 578文字

1990年5月初版、1993年2月第3版
著者:大沢在昌
光文社 カッパノベルズ



カッパノベルズらしいクラシフィケーション、「長編ハード刑事小説 書き下ろし」
が今となっては愉快だ。

本作は今なお続いている「新宿鮫シリーズ」の記念すべき第一作。
今読み返して、「大沢氏生涯の傑作」であることを確認した。

キャリア警察官でありながら新宿署防犯課の警部の地位で
一生とどめ置かれることになっている「鮫島」。
彼を取り巻く警察事情のあれこれが、このシリ-ズの大きな興味となるが、
本作ではまだその醍醐味はこれから・・というところか。
警察小説には魅力的な(魔力的な)都市が大きなエッセンスとなる。
その意味から「新宿」はまたとない特異な街の顔を見せてくれる。
その新宿で、悪には正面から挑む一匹狼の刑事・・・
警察機構がひきづってきたシガラミは一切彼には通用しない。
その男は警察官僚の「ある秘密」を握っているらしい、
なかなか組織として鮫島をつぶすこともできない。
この設定が、たまらなく痛快である。

もう一つのおいしさが鮫島の恋人。
ロックグループの官能的ボーカル少女と年の差が大きい刑事との真剣な恋。
第1作から、その恋人も巻き込まれる新宿署警官連続殺人事件に一人で挑む「新宿鮫」。
現時点で玉石混合の警察小説分野だが、
その中で正統派を今も維持しているのは作者の大きな思い入れがあるからに違いない。
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