閉じていく帝国と逆説の21世紀経済 (2017/8/23)

文字数 907文字

2017年5月22日 第1刷発行
著者:水野和夫
集英社新書



まずは、表紙裏面の宣伝コピーから・・・・
【資本主義の終焉によって、世界経済の「常識」が逆転した、経済成長を追及すると、企業は巨大な損失を被り、国家は秩序を失う時代になったのだ。生き残るのは「閉じた経済圏」を確立した「帝国」だけである。《長い21世紀》という五百年ぶりの大転換期に始まる、新しい「帝国」システム。そのもとで米英、欧州、中露の経済はどう変わるのか?日本を救い出す方策とは何か?ベストセラー「資本主義の終焉と歴史の危機」で高い評価を受けたエコにミスとが描く、瞠目の近未来図】

というコピーでは内容はさっぱりわからない。
目次はこうなっている:
1.「国民国家」では乗り越えられない「歴史の危機」
2.例外状況の日常化と近代の逆説
3.生き残るのは「閉じた帝国」
4.ゼロ金利国・日独の分岐点と中国の帝国化
5.「無限空間」の消滅がもたらす「新中世」
6.日本の決断ー近代システムとゆっくり手を切るためには

この章立て紹介だと、余計混乱してきそうだ。

僕なりの理解としては、
国民国家と資本主義が蜜月だった時代、そこには無限の可能性があった。
しかしながら近代化と称している現在は政治的にテロが多発し、経済的には近代の理念である能力に準じた平等化が幻想であり格差が拡大していることが判明し、主権国家の機能不全が明らかになってきた
・・・そうであれば、近代の一つ前の中世のシステムを参考にしよう。
グローバリズムが拡大するフロンティアはもはや残っていない、だとすれば成長戦略ではなく定常状態を目指すにはどうするのか?
すでにその兆候はEUという経済圏、アメリカの一国主義に予測することができる。
その帰着は「帝国」に結び付くという、それも閉じられた帝国。

強引な理論展開が鼻につくが、少なくとも今の日本の将来展望はとても危険だということは理解できる。
対米従属のまま「グローバリズム」から「アメリカファースト」への変更に素直に追随していていいのか?
金利ゼロは資本主義の理想のかたちだとすれば、日本独自の道があるのではないか?
22世紀に至る(長い21世紀)を生き抜くための貴重な提言だった。
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