この世を離れて (2015/11/4)
文字数 477文字
1996年2月29日 初版発行
著者:ラッセル・バンクス 訳:大谷豪見
早川書房
ラッセル・バンクス作品は初めてだった。
村上春樹の好きな作家ということだが、
彼のすすめに従うなんぞは、僕も立派な「村上主義者」になってしまったものだ。
と、いくぶん自嘲気味だが、以前から村上さんの読書の好みと僕のそれがかなり似通っていることもあって、本作の未知への興味が強かった。
物語は、アメリカ北部の寒村で起きたスクールバス事故が引き起こす住民たちの悲劇と再生だ。
バスの運転手、子供二人を亡くした父親、悲劇的な事故に怒りを抑えられない弁護士、生存したものの深い後遺症の女子学生、それぞれ4人の一人称で書かれた章から成立している。
小さな共同体が、大勢の子供たちの死によって崩壊の危機のなか、彼ら4人の行動が人間の尊厳そして人々の結束をつなぎとめる。
誰もが遭遇するかもしれない「身近な死」、そんな日常の中の不条理に立ち向かう、普通の人たちの行動が、ひっそりと僕の胸を打つ。
そしてふと不安になってしまう・・・・
生涯最悪の不幸に立ち向かうような威厳と心の強さを僕は持っていられるのかと。
著者:ラッセル・バンクス 訳:大谷豪見
早川書房
ラッセル・バンクス作品は初めてだった。
村上春樹の好きな作家ということだが、
彼のすすめに従うなんぞは、僕も立派な「村上主義者」になってしまったものだ。
と、いくぶん自嘲気味だが、以前から村上さんの読書の好みと僕のそれがかなり似通っていることもあって、本作の未知への興味が強かった。
物語は、アメリカ北部の寒村で起きたスクールバス事故が引き起こす住民たちの悲劇と再生だ。
バスの運転手、子供二人を亡くした父親、悲劇的な事故に怒りを抑えられない弁護士、生存したものの深い後遺症の女子学生、それぞれ4人の一人称で書かれた章から成立している。
小さな共同体が、大勢の子供たちの死によって崩壊の危機のなか、彼ら4人の行動が人間の尊厳そして人々の結束をつなぎとめる。
誰もが遭遇するかもしれない「身近な死」、そんな日常の中の不条理に立ち向かう、普通の人たちの行動が、ひっそりと僕の胸を打つ。
そしてふと不安になってしまう・・・・
生涯最悪の不幸に立ち向かうような威厳と心の強さを僕は持っていられるのかと。