日本の「運命」について語ろう (2015/8/23)

文字数 648文字

2015/1/20 第1刷発行
著者:浅田次郎
幻冬舎



実は本書は講演会録に加筆したもの、語り口の柔らかさを感じながら鋭い指摘が好ましい。
各地での講演を、それでも読み物としてまとめて読者に提供するのは作家の矜持だという。
以下の章立てになっている:
第一章 なぜ歴史を学ぶのか
第二章 父の時代・祖父の時代
第三章 中国大陸の近代史
第四章 明治維新が目指した未来とは
第五章 参勤交代から覗く「江戸時代のかたち」

浅田次郎さんの執筆姿勢がこの中では明らかになると同時に、著書の作品解題にもなっている。
解かれていくその作品は;
◆「壬生義士伝」「輪違屋糸里」「一刀斎夢録」の新撰組三部作
◆「一路」
◆「地下鉄(メトロ)に乗って」
◆「角筈にて」
◆「終わらざる夏」
◆「蒼穹の昴」
◆「国書院の六兵衛」(作品名は直接あげられていないが)

浅田作品は、このような歴史のトリビアをさりげなく文脈で披露しているので、
読者はこの解題について驚くことはないが、本書の狙いはこの薀蓄である。
浅田さんの警告を一つ以下にお知らせしておきたい:
『科学は経験の累積によって確実に進歩を遂げるが、人類が科学とともに進化していると考えるのは重大な錯誤である。人間は時代とともに進歩ではなく変容し、あるいは退化しているのだという謙虚な認識を持たなければ、 時代小説どころかほんの一昔前の舞台すらも正しく描くことはできない。 たとえば戦争というものなどは、その重大な錯誤と認識の不足のせいで繰り返されると思われる 』

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