1984年 (2014/1/2)

文字数 761文字

1949年発表 1972年初版 1973年2版
著者:ジョージ・オーウェル
訳:新庄哲夫
ハヤカワ文庫NV



還暦文庫の目玉の一つ、ディストピア小説の白眉でもある「1984」、
村上春樹さんの「1Q84]」は無論 本書へのオマージュに違いない。
「偉大なる兄弟、BB (Big Brothers)」、「戦争は平和である」、「無知は力である」、
「自由は屈従である」を標語とする権力主義国家をえがいている。

オセアニア帝国の下級党員ウィンストンの目から見た民衆統制の様子が、
今読んでみても生々しく、恐怖に満ちている。
彼の勤務する「真理省」では報道・芸術を統括し日常的に歴史を変更して
党の方針に合致させることを業務としている。
「平和省」では戦争遂行を担当、「愛情省」は拷問による秩序維持、
「豊富省」は物資配給統制に携わっている。
当然のことに、国民は人間らしく生きることはできない中で、主人公は党に謀反を起こす。

ジョ-ジ・オーウェルは当時のソ連スターリン体制を危惧して本書を書こうとしたと聞いている。
1949年、苦しみぬいて本書を完成させたのち1950年に亡くなっている。

今回読み返してみて、この反ユートピア国家のモデルはもはやソ連(ロシア)ではなく、
北朝鮮ではないかと気づいた。
無論ジョ-ジ・オーウェルにはそんな意図はなかったはずだ。
北朝鮮が【1984年】を実践しているのではないか。
常に戦争の脅威を国民意識に浸透させ、生活の不満を抑制することで体制を維持する(平和)。
反対勢力を速やかに排除して歴史・思想を守る。
アメリカ思想である「自由」を徹底的に非難する。

そして、ふと我国の先行きも心配になってきた。
積極的平和主義?  秘密保護法? 太平洋戦争の歴史観?

反ユートピア国家においても、
特権階級はその富と自由を享受していることは言うまでもない。
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