所轄魂 Ⅱ 失踪都市 (2015/8/6)

文字数 563文字

2014年7月31日 初版
著者: 笹本稜平
徳間書店



新しい警察小説として注目してみた「所轄魂 シリーズ」の2作目、
1作目に引き続いて 警視庁本庁と所轄城東署の争いがテーマになっている。
その対立が、警察官の矜持、父息子の立場というサブテーマに編み込まれ、
警察ホームドラマの異色な興味をそそってくれる。

もと本庁捜査1課の主任だったが、今は所轄署で刑事の本分に目覚めた父親。
キャリアではあるが、真摯な警察官使命に燃える本庁捜査1課の新米管理官の息子。
この二人が捜査活動を共にする中で、お互いに警官としての資質を高めていく。
警察という特殊な環境のなか、親子が生き方の理想を追求する姿が特異な警察小説になっている。
「剣客商売」の秋山親子をふと思い出してしまった。

今作では、本庁上層部と所轄署の争いが、カルト宗教犯罪を巡って頂点に達する。
葛木親子が職を賭して挑むアンタッチャブルな謎。
ラストで一気に事件が解決するスタイルは一般的な警察小説愛好家には、
歯がゆいかもしれない。

前述したように、警察ホームドラマとしての日常の詳細な捜査活動が好きな僕にとっては、
このラストシークエンスはおまけカタルシスにしか過ぎない。
異常に細やかな捜査チームの行動、会話がたまらなく好きだ。
こんなキャリア警察官や、地を這いずる現場刑事がホントにいたら良いのになぁ。
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