オードリ・タン デジタルとAI の未来を語る (2021/1/30)

文字数 932文字

2020年12年1日 第一刷発行 2021年1月8日 第三刷発行
著者 オードリー・タン
プレジデント社



今日届いた市報によると、
僕が住んでいる海老名市は令和五年に市内の小学生すべてにタブレット端末を整備する計画だったが、御存じのとおりの新型コロナ蔓延で休校が続いた結果、教育計画の遅れが生じ、本計画を令和二年度に前倒しすることに「国」が決め予算化された。おかげで今年の8月末までに合計10,591台のタブレットが整備されることになった・・とのことだ。
めでたしめでたし・・・なのだろうか?
ちょうど一年前にヨーロッパで新型コロナパンデミックの際に各国の児童が家庭にいながらリモートで学習する姿をニュース画面で見たが、日本の子どもたちのそのような映像を見ることはなく、日本はいかにICTの後進国であるかを実感して愕然となったものだった。
その後のリモートワーク実稼働の低さ、給付金等の配布における笑い話のようなトラブル、
感染者数のFAXによる報告・・・などなど、デジタルイノベーションの遅れを完膚なきほどに
思い知らされたのだった。

台湾の今のスーパースターオードリー・タンさんの本書を読みながら様々な思いにとらわれる。前述した小学児童のタブレット整備とは若干趣旨が異なるのだが、ICTに必要なのはツールだけではないということだ。著者が語る伝えたかったのは「デジタル民主主義」という概念、ICTだからこそ国と国民が双方向で議論できることが可能になる、そんな思考の原点は台湾では民主主義が若者たちの手によって、長い歴史の中で少しづつ獲得されてきたものだからと説明する。
新型コロナパンデミックを抑えた台湾の、あるいは著者の功績として挙げられる「マスクアプリ」は多くの国民の自発的な協力で完成した、これは政府と国民の強い信頼感(民主主義の基幹)によるものだと著者は謙遜している。
一方で、著者は天才のトランスジェンダーとして日本のマスコミから今注目を集めている。
しかし、本書で語られる著者の素顔は天才というより仙人、いや神に近い存在だ。
政治家が私利私欲に奔走する姿に見慣れた僕には、著者のような大臣を擁する台湾の未来が気になって仕方がなかった。その裏腹には日本の未来への不安があるのだが。
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